編み図なしで円を編む 〜細編み編〜

こんにちは。笠石あき(@aki_kasaishi )です。

今回は、最近考えていた「編み図なしで円を編む」ことについて、細編みの円を編みながらつらつら書いていきたいと思います。 かぎ針編み初心者の方はもとより、「その方法はもう知ってるよ!」という方も使える応用技をご紹介します。

シンプルなようで奥が深いテーマです……。

目次

いちばん基本の円の編み方

わの作り目をしてから次のように編むのが、たぶんいちばん簡単だと思います。

  • 1段目は細編み(X)を6回編む。全体で6目。引き抜き編みでつなぐ。
  • 2段目は細編みの増し目(V)を6回編む。全体で12目。引き抜き編みでつなぐ。
  • 3段目は細編みの増し目1つ、細編みを1つ、これを6回繰り返す。全体で18目。引き抜き編みでつなぐ。
  • 4段目は細編みの増し目1つ、細編みを2つ、これを6回繰り返す。全体で24目。引き抜き編みでつなぐ。

規則的に増し目をしていることがわかりますね。 見やすくするために、表にしてみましょう。

スクロールできます
段数1ブロックの編み方繰り返し回数全体の目数
1段目(X)×66目
2段目(V)×612目
3段目(VX)×618目
4段目(VXX)×624目
5段目(VXXX)×630目
6段目(VXXXX)×636目
7段目(VXXXXX)×642目
8段目(VXXXXXX)×648目
9段目(VXXXXXXX)×654目
10段目(VXXXXXXXX)×660目
いちばん基本の円の編み方1

この表は「1つのブロックを6回繰り返して編み、最後に引き抜き編みでつなぐ」というふうに読み取ってください。

実際に編んだものがこちら(ピン打ちなしで軽くスチームアイロンをかけています)。

いちばん基本の円1 毎段同じ位置で増し目をするので6角形になる

……円ではなくて6角形になっていますね。実は、ぐるぐる編む時に同じ位置で増し目をすると、増し目の位置がどんどん尖り、最終的に多角形になるという性質があります。

これを回避するには、増し目の位置を変えて(バラけさせて)やればOKです。(以降の説明の都合上、これを「6目ベースの円の編み方」と呼ぶことにします。)

6目ベースの円の編み方

スクロールできます
段数1ブロックの編み方繰り返し回数全体の目数
1段目(X)×66目
2段目(V)×612目
3段目(VX)×618目
4段目(XVX)×624目
5段目(VXXX)×630目
6段目(XXVXX)×636目
7段目(VXXXXX)×642目
8段目(XXXVXXX)×648目
9段目(VXXXXXXX)×654目
10段目(XXXXVXXXX)×660目
いちばん基本の円の編み方2(6目ベースの円の編み方)

先ほどの6角形の編み方から、偶数段目で増し目の位置をずらしました。編んだものがこちら。

いちばん基本の円2(6目ベースの円)

だいぶ 円に近づきました!実はこれも、2段ごとに同じ位置(全部で12か所)で増し目をしているため、正確には12角形を編んでいることになります。糸に伸縮性があるため円のように見えているんですね。

円が平らに編めない時は

基本の編み方で編んでみて円がお椀状に反ってしまう場合、あなたの手加減(ゲージ)に対して編み目が少なすぎる可能性があります。 このようなときは、繰り返し回数を増やしてみましょう。

7目ベースの円の編み方

スクロールできます
段数1ブロックの編み方繰り返し回数全体の目数
1段目(X)×77目
2段目(V)×714目
3段目(VX)×721目
4段目(XVX)×728目
5段目(VXXX)×735目
6段目(XXVXX)×742目
7段目(VXXXXX)×749目
8段目(XXXVXXX)×756目
9段目(VXXXXXXX)×763目
10段目(XXXXVXXXX)×770目
7目ベースの円の編み方

1ブロックの編み方はそのまま、繰り返し回数を7回にして編むと、お椀状に反っていた円が平らに近づくと思います。これでも反るようであれば、繰り返し回数を8回にしてみてください。

8目ベースの円の編み方

スクロールできます
段数1ブロックの編み方繰り返し回数全体の目数
1段目(X)×88目
2段目(V)×816目
3段目(VX)×824目
4段目(XVX)×832目
5段目(VXXX)×840目
6段目(XXVXX)×848目
7段目(VXXXXX)×856目
8段目(XXXVXXX)×864目
9段目(VXXXXXXX)×872目
10段目(XXXXVXXXX)×880目
8目ベースの円の編み方

平らに編めたでしょうか?目数を増やしすぎるとひらひら波打ってきてしまうので、よい加減のところを探してください。

目数を変えずに針を変えて微調整するのも手です!

応用① 途中で増し目のルールを変えて、より平らに編む

さて、ここからは応用編です。

「最初は6目ベースでいい感じなんだけど、だんだんお椀になってくるな」もしくは「8目ベースでいい感じなんだけど、中心がぼよんぼよんになっちゃうな」というときは、途中で増し目のルールを変えてしまうのも1つの手です。

どういうことなのか、表を使って解説します。

6目ベースの4段目は、全体の目数が24目になっていますね。8目ベースでは3段目が24目になっています。 このような「全体の目数が同じになる段」に注目してください。

  1. 6目ベースの表を見て、全体の目数が24目になる段(4段目)まで編む。
  2. 8目ベースの表を見て、全体の目数が24目の段(3段目)の次の段のルールを使って続きを編む。

まとめると次のようになります。

これで、途中で増やし方のルールを変えることができました。

こういう工夫で「アイロンをかけなくても真っ平らな円」が編めると嬉しくないですか?私はめっちゃうれしいです☺ お悩みの際はぜひお試しください。

応用② 増し目をする場所を変えて、見た目を操作してみる

増し目をする場所を変えてやると、全体の見た目が変わって違う雰囲気の円になります。

例として、2つのパターン用意しました。編み方が違うのは7段目と9段目だけですが、実際に編んでみると差がはっきりわかります。

スクロールできます
段数1ブロックの編み方繰り返し回数全体の目数
1段目(X)×66目
2段目(V)×612目
3段目(VV)×618目
4段目(XXXX)×624目
5段目(VXVX)×630目
6段目(XXXXXX)×636目
7段目(VXXVXX)×642目
8段目(XXXXXXXX)×648目
9段目(VXXXVXXX)×654目
10段目(XXXXXXXXX)×660目
6目ベースの円の編み方 変形1
スクロールできます
段数1ブロックの編み方繰り返し回数全体の目数
1段目(X)×66目
2段目(V)×612目
3段目(VV)×618目
4段目(XXXX)×624目
5段目(VXVX)×630目
6段目(XXXXXX)×636目
7段目(VXXXVX)×642目
8段目(XXXXXXXX)×648目
9段目(VXXXXXVX)×654目
10段目(XXXXXXXXX)×660目
6目ベースの円の編み方 変形2
6目ベースの円 変形1
6目ベースの円 変形2

変形1は「より円に近づいて見える」、変形2は「斜行が少ない(立ち上がり位置が右にずれていく現象が目立ちにくい)」という特徴があります。

共通点もあります。

  • どちらも基本の円より全体の目数が多いので、厚みが出る。
  • 増し目をしない段があることによって、増し目位置に発生する角が丸くなって、多角形っぽく見えない(マイルドになる)。

増し目の位置を意図的にずらす、あるいは揃えることによって、好みの見た目にできることがお分かりいただけたでしょうか?特に、麻糸やエコアンダリヤなどの細編みの目が際立つ糸でバッグや帽子を編むときに、クオリティに差がつくところです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

編み図を見ずに円が編めるようになれば、針と糸だけ持って出かけて外で編んだり、気の向くまま編んたものを作品に仕立てたり、みたいなことができて、楽しみが広がりそうですね。

応用編を極めれば、編み方を糸や作品の雰囲気によって変化させていくなんてスペシャルなことができるかも?!

あなたの編み物ライフで活用していただけましたら幸いです。

素敵な編み物の時間を楽しんでいただけますように。
Happy Crocheting!

使用した針と糸

パピー コットンコナ(40 g / 110m, COL-63) (パピー オンラインストア)を使用しています。すべりがよくて編みやすく、発色がいい、大好きな糸です。太めなのでざくざく編めるのもポイント。私はかぎ針5/0号くらいで編むのが好きです。

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